墓じまいでお寺に包むお布施はいくら？相場・マナー・注意点

墓じまいで包むお布施とは

お布施とは、読経や閉眼供養など寺院が行う宗教儀式に対する感謝の気持ちを表したお金のことです。一般的には以下のような内訳でお布施を包むことが多く見られます。

• 閉眼供養や読経のお布施
  墓じまいをする際にお墓の魂を抜く儀式（閉眼供養）を行います。お布施の相場は3～5万円程度とされています。
• 離檀料（りだんりょう）
  これまで檀家としてお世話になったお寺を離れる際に、感謝の意を示して包むお金です。相場はお寺との関係や地域差もありますが、一般的には5～20万円程度とされています。

また、お布施の金額は地域やお寺によっても幅があるため、事前に寺院に直接相場を確認しておくことが重要です。特に金額に迷った場合は、地域の寺院に尋ねたり、墓じまいを行った経験がある知人に相談するのも良いでしょう。

大切なのは、感謝の気持ちを込めて包むことです。相場にとらわれすぎず、気持ちよく墓じまいを進められるように準備しておくことをおすすめします。

墓じまいでのお布施の相場一覧

墓じまいで寺院に支払うお布施には、主に3つの種類があり、それぞれ相場が異なります。実際にかかる費用を項目別に詳しくご説明します。

閉眼供養（魂抜き）のお布施相場

3～5万円が一般的な相場です。地域によっては2万円台から受け付けている寺院もあります。この費用には、僧侶の読経料とお車代が含まれていることがほとんどです。大都市圏（東京・大阪・名古屋）では5万円程度、地方では3万円前後が目安となります。

離檀料の相場

5～20万円が標準的な範囲です。具体的な金額は以下の要素で決まります。

• 檀家歴の長さ（10年未満：5～10万円、10年以上：10～20万円）
• 寺院との関係性（先祖代々の菩提寺かどうか）
• 地域の慣習（関東は比較的低め、関西はやや高めの傾向）

永代供養を依頼する場合の費用

墓じまい後に寺院で永代供養を依頼する場合は、別途3～10万円程度が必要です。この費用は年間供養料とは別で、初回のみ発生するケースがほとんどです。

地域別の相場差

• 東京23区：閉眼供養5万円、離檀料10～30万円
• 大阪市内：閉眼供養4～5万円、離檀料8～20万円
• 地方都市：閉眼供養3万円、離檀料5～15万円

寺院規模による違い

• 大規模寺院：やや高め（閉眼供養5万円、離檀料15万円～）
• 中小寺院：比較的安め（閉眼供養3万円、離檀料5万円～）

注意点として、これらはあくまで目安です。実際の金額は必ず事前に寺院に確認してください。特に離檀料は寺院によって考え方が大きく異なるため、早めに相談することが重要です。

お布施の渡し方とマナー

墓じまいでお布施を渡す際は、感謝の気持ちを適切に伝えるためにも正式なマナーを守ることが大切です。細かい作法がわからず不安な方のために、具体的な手順と注意点をご説明します。

のし袋の選び方では、白黒または双銀の水引が付いた不祝儀袋を使用します。関東では結び切り、関西ではあわじ結びが主流です。表書きは「御布施」が基本ですが、離檀料として渡す場合は「御礼」と記すこともあります。金額は薄墨ではなく普通の墨で書き、旧字体（例えば五萬円）を使用するのが正式です。

お金の入れ方にも作法があります。お札は肖像画が表になるようにし、お金の向きを揃えて袋に入れます。新札を準備する必要はありませんが、できるだけきれいなお札を使いましょう。中袋がある場合は、金額と住所氏名を記入します。中袋がない場合でも、お金に直接名前を書くのは避けてください。

渡すタイミングは、閉眼供養の前に僧侶に確認するのが確実です。一般的には、読経が始まる前に「本日はよろしくお願いします」と挨拶を添えて渡します。直接手渡しするのが基本ですが、寺院によっては受付で預かる場合もあります。特に離檀料は高額になるため、現金書留で郵送するケースも増えています。

金額の記載方法で注意したいポイントが3つあります。

1. 数字は「金 参萬円也」のように漢数字で書く
2. 金額の頭に「金」、末尾に「也」を付ける
3. 3万円の場合は「参萬円」、5万円は「五萬円」と書く

寺院とのやり取りでは、以下の点に配慮しましょう。

• お布施の金額について直接聞くのは避け、「お気持ちで結構です」と言われたら地域の相場を参考にする
• 経済的事情がある場合は「少しでも負担を軽くできないか」と相談する
• 領収書が必要か事前に確認する（特に離檀料は税務上重要）

マナーで最も大切なのは、形式以上に気持ちです。多少の作法がわからなくても、丁寧な態度と感謝の気持ちがあれば問題ありません。不安な場合は、事前に寺院に確認するか、経験者に同行してもらうと安心です。

墓じまい費用のトラブルを避けるポイント

寺院との金銭トラブルを防ぐためには、事前の確認と適切な準備が欠かせません。特に離檀料やお布施の金額は寺院によって大きく異なるため、以下のポイントを押さえておきましょう。

寺院との事前相談は必ず書面で行うことが重要です。口頭でのやり取りだけでは後々の認識違いの原因になります。お布施や離檀料の金額、支払い時期、内訳などを明記した書面を寺院から受け取るか、メールで確認を取りましょう。特に離檀料の相場は5～20万円と幅広いため、明確な見積もりを求めてください。

高額請求を防ぐための具体的な対策として、以下の3点を確認しておくことをおすすめします。

• 寺院が提示する金額の根拠（過去の事例や地域の相場）
• 内訳の詳細（読経料・車代・離檀料などの区分）
• 追加費用の有無（永代供養を依頼する場合など）

支払い時期についても明確にしておきましょう。閉眼供養当日に現金で支払うケースや、後日振り込むケースなど寺院によって異なります。特に高額な離檀料は分割払いが可能かどうかも確認しておくと安心です。

トラブル事例として多いのが「想定外の高額請求」です。ある事例では、閉眼供養後に離檀料として30万円を請求され、話し合いの結果15万円で落ち着いたケースがあります。このような事態を避けるためにも、金額の確認は必ず供養の前に済ませておきましょう。

金額交渉のコツとして、以下のアプローチが有効です。

• 地域の相場を調べておき、根拠を持って相談する
• 経済的事情がある場合は正直に伝える
• 複数の寺院に相場を聞いて比較する（菩提寺でない場合）

最後に、支払い後は必ず領収書を受け取りましょう。特に離檀料は「寄付金」として処理されるケースが多いため、税務上の扱いも確認しておくと良いでしょう。寺院との円満な関係を保ちながら、適正な費用で墓じまいを進めるためには、これらのポイントを押さえた事前準備が最も効果的です。

お布施以外にかかる墓じまい費用

墓じまいではお布施の他にも、撤去作業や行政手続きなど様々な費用が発生します。想定外の出費を避けるため、具体的な内訳と相場を把握しておきましょう。

墓石の撤去費用は、1平方メートルあたり10～15万円が相場です。標準的な墓石（0.5～1.0㎡）の場合、5～15万円程度を見込んでおくと良いでしょう。ただし、以下の要素で金額が変動します。

• 墓石の大きさと材質（御影石は高価なため処分費も高め）
• 基礎コンクリートの有無（ある場合は解体費が追加）
• 作業の難易度（狭い場所や階段があると高くなる）

行政手続き関連の費用として、以下のような項目があります。

• 墓地の使用権解除手数料：3,000～1万円（自治体や霊園により異なる）
• 改葬許可申請手数料：1通あたり500～1,000円
• 役所への申請書類作成代行：5,000～2万円（司法書士や行政書士に依頼した場合）

遺骨の改葬費用は、新しい納骨先によって大きく異なります。

• 永代供養墓：5～30万円（合祀型か個別型かで差がある）
• 納骨堂：10～50万円
• 樹木葬：5～100万円（タイプにより幅広い）

その他想定外の費用として注意したいポイントが3つあります。

1. 墓石の下から遺骨が発見された場合の追加供養費（1体あたり2～5万円）
2. 遠方の寺院への移動費（僧侶の交通費や宿泊費が発生する場合）
3. 緊急時の追加費用（天候不良による作業中断後の再手配など）

費用を抑える具体的な方法としては、以下のような選択肢があります。

• 墓石の処分は石材店より専門の解体業者に依頼する（30%程度安くなるケースも）
• 行政手続きは自分で行う（代行費用を節約可能）
• 改葬先を比較検討する（同じ永代供養でも施設により価格差あり）

特に注意が必要なのは、古い墓石の場合、有害物質（アスベスト等）が含まれていると特別な処分方法が必要になり、費用が2～3倍になることもあります。事前に石材店や自治体に確認しておくと安心です。

まとめ｜適切なお布施でスムーズな墓じまいを

墓じまいにおいてお布施を適切に準備することは、寺院との円満な関係を築き、スムーズな手続きを進める上で大切です。お布施は単なる費用ではなく、これまでのご縁への感謝の気持ちを形にしたものと理解し、心を込めて準備しましょう。

お布施の金額は地域や寺院によって異なるため、事前の確認が不可欠です。特に離檀料は相場に幅があるため、早めに寺院と話し合い、明確な見積もりをもらうことが重要です。経済的事情がある場合も正直に伝え、無理のない範囲で準備しましょう。

お布施の渡し方にも配慮が必要です。のし袋や表書きは正式なマナーに則り、感謝の気持ちを丁寧に表現します。渡すタイミングは事前に確認し、寺院の都慮を尊重しましょう。

墓じまいは経済的負担が大きいため、お布施以外の費用も含め総額を把握しておくことが大切です。寺院とのトラブルを防ぐためにも、すべての費用を書面で確認し、領収書を必ず受け取るようにしてください。

適切なお布施を準備することで、墓じまいを気持ちよく進められ、新たな供養の形へとスムーズに移行できるでしょう。